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2024年12月13日 (金)

ブータン・レコード切手の試作品(エッセイ)を入手

Bhutanrecordessaydescription 

 先月の香港のオークションにブータンのレコード切手13枚とFDC1通のロットが出品されていました。残念ながら明らかな傷物も含まれるコンディションの悪いロットでしたが、見慣れない色の切手(白地(本当は透明)に緑の印刷)が目につきました。オークションの画像を良く見ると、発行されていない額面(6NU)でデザインも少し異なるではありませんか。さらに探すと、緑色の切手にも1枚、額面6NUの切手が含まれていることが判りました。ドキドキで自分が払える最大限の予算で入札したところ、ラッキーなことにほぼ未使用1セット分の値段で落札できました。
 冒頭の画像の上部2枚が額面・図案(国名表記、中央のAIR MAIL表示)・刷色の違うエッセイ(カラートライアル)です。実はブータンのレコード切手の表面をよく見ると、薄く刻印が施されているのですが、その刻印も違っています。これで、通常のレコード切手のインクを消して変造したものではないことが判ります。(英文の文字は私(荒牧)自身が記入したものです。)
Bhutanrecordgold
 なお、冒頭の画像では、緑の切手は同じ刷色に見えますが、並べて見ると、通常版は金色ですがエッセイ(カラープルーフ)は銀色(白ではありません)であることが判ります。(2番目の画像)

 海外のコレクターに情報を求めたところ、アメリカ在住の熱心なコレクターが、「(ブータン切手のエージェントを務めた)トッド氏のアーカイブから流出したカラー・トライアル・サンプルだ」「1980年代に1度、その後も1~2度オークションで見かけたことがある」という返信が得られました。「サンプル」というのは通常は実物見本のことですので試作品をそう呼ぶのは難しいです。また切手収集用語としての「カラー・トライアル」は最終デザインで行われるプルーフの一種ですので、デザインが異なる今回はこれも適切な呼び名ではなさそうです。発行された切手と異なる図案の試作品は収集用語としては「エッセイ」と呼ぶそうですので、私もエッセイと呼ぶことにします。

 他の色もあるのか?というのが気になるところです。上述のアメリカのコレクターに質問してみたのですが、私の英語力の乏しさもあってが、具体的な情報はまだ得られていません。しかし、常識的に考えて、他の色や大きなサイズのものが存在する可能性は高いと思います。

 さらに、送られてきたロットにはレコード切手の製造元の朝日ソノラマからトッド氏に宛てた手紙も同封されていました。
 内容は、トッド氏がバッテリー式のポータブル・レコードプレーヤーを探しているのに対して、製造中止になったが1,500台以上発注すれば60日で再生産は可能という趣旨の連絡をしているものです。(3番目の画像)
 おそらくトッド氏は、世界初のレコード切手のキャンペーンに使おうと考えたのでしょうが、1,500台も必要だとは思えませんし、60日かかるとレコード切手の発行日(4/15)に間に合いませんので、再生産の発注は見送られたと思われます(この点は私の想像です。)。
Bhutanletter
 残念ながら切手に関するものではありませんが、コピーではなく原本の手紙なので、この切手がトッド氏の元から流出したことを推測できる貴重な資料です。(ただし、この手紙自体が偽造されている可能性も否定できません。)
 トッド氏が探していた機種と思われるポータブル・レコードプレーヤーのカタログのコピーも同封されていましたので、ご紹介します。
Bhutanleaflet

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コメント

別の海外のコレクターからの追加情報です。
緑色の6NUのエッセイと同じものが、2012年のMichael Rogers auctionに出品されたことがあるそうです。(落札額は$900)

投稿: 荒牧 | 2024年12月19日 (木) 03時16分

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