焦げ穴切手
例年は結構忙しい3月というのに、なぜかスケジュールに空きができたので、念願のニューヨーク旅行をしてきました。
今回の旅行は、美術館・博物館巡りが目的だったので、切手商には寄っていないのですが、たまたま入手した珍品を紹介します。
画像の切手は、グッゲンハイム美術館で購入したPスタンプです。これは、特別展を開催中の、現代美術家の蔡國強(Cai Guo-Qiang)氏の火を使って宇宙を表した作品にちなんだもので、なんとタブ部分に「本当の焦げ穴」が空いているのです(判りやすいように赤い紙を敷いています)。
焦げ穴といえば、アルゼンチンが2004年に発行した切手が思い浮かびますが、その際は、焦げ穴を模した穴が空けられていただけで、本当の焦げ穴ではありませんでした。
ところが、このPスタンプは、本当に焦がした穴が空いているのです。切手の裏側の画像を見ると、焦げ穴の縁が黒くなっているのがよく判ります。また、売られていたシートの焦げ穴は、当然のことながら同じ形のものはなく、1枚1枚異なっていました。
具体的にどういう方法で焦げ穴を付けたのかは判りませんが、決して大きくない面積のタブを焦がすのは、大変だったと思います。また、焦がしすぎれば、切手部分まで焦げてしまいますので、失敗作もたくさん出たことと思います。
ちなみに、画像の他にも、もう1種類のシートが売られていました。1シート(8枚)で$14+税ですので合計$28+税になりますが、焦げ穴を付ける手間と失敗作のリスクを考えると、決して高い値段ではないと思います。
Pスタンプとはいえ、非常に面白いアイテムです。
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コメント
こんばんは。
ふむふむ、と興味深く"焦げ穴アート"のPスタンプを拝見しました。自分も現代美術を学んだクチですが、どこまでをアート(芸術)と看做して良いのか相当悩みます。
本券も、焦がして穴を開けてしまうという「行為」にはある種の意志が認められるのでアートと言っていいと思います。いわゆる「パフォーマンス」です。しかし、その行為の結果でしかない「物体」は、それ自身が「表現」を伴っているとは限りません。痕跡ではあっても、アートとしての体を成していない気がします。ただの焦げ跡と、意図的な焦げ跡との明確な差がない場合、やはりアーティストの責任としてきちんと説明してほしいです。
グッゲンハイム美術館のスーベニアとしても、アート作品のひとつとしても大変興味深いだけに、より論理が求められると思います。日本にも切手や郵便を使ったアートを創る方がいますので、ちょっと真剣に考えてみました。
投稿: すぎやま | 2008年3月24日 (月) 23時09分
こんにちは。確かにこのPスタンプ自体をアート作品と考えるのは難しいですね。あくまで面白切手として楽しむべきだと考えています。
なお、説明が不足していましたが、タブの部分の黒いススのような図案自体は印刷です。その中心部分に焦げ穴を後から空けた形になっています。
投稿: 荒牧 | 2008年3月28日 (金) 07時28分